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ともしどコンテンツ

恥を忍んで、恋も忍ぶ。

甘い匂いに誘われて【朝食はミルクティー】

ベッドメイキングを済ませて、ほっと息をつく。

 

「きちんと整えられたベッドは清々しくていいよね」とカレが言うもんだから、かれこれ2年は毎日続けている。

 

「別れてもう、半年になるのにね」

 

ひとりごとをぽつりと零し、私は淹れたての紅茶をカップに注いだ。

 

体が温まると、不思議と心も穏やかになる。

 

ふにゃふにゃとした気分のまま、考え事をするのが好き。

 

カレと別れてから半年も経っているのにベッドメイキングをしている自分を客観的に見てしまったものだから、今日のテーマは「習慣」にすることにした。

 

案外、習慣は自分で決めたものよりも、誰かの影響で始めたもののほうが多いのではないかと思う。

 

ベッドメイキングにしてもそう。

 

カレが「清々しい」なんて嬉しそうな顔をするものだから、今でも私は自分のためにベッドメイキングをしている。

 

もちろん、それだけではない。

 

手帳に書く文字の色を変えたのも、LINEのきせかえをしたのも、パスケースを使うようになったのも、お酒を飲まなくなったのも、全部カレの影響だ。

 

それなのに、カレはもういない。

 

当たり前のように、カレのいない日常を、カレと過ごした日々のままに過ごしている。

 

「ふぅ」と一息ついて、肩に乗りかけたちょっとの寂しさを振り払った。

 

「さよならと言ったはずなのに、ぜんぜんね」

 

殺風景な玄関を見つめながら、私は紅茶を飲み干した。

 

彼はミルクティーを飲んでいた【おわりに向かってみた】

「ふぅ…」と一息ついて、視線を落とす。

 

「疲れたなぁ、もう」

 

私の頭を悩ませているのは、あの男。

 

「なんでここにはコーヒーしかないんだ!彼女はミルクティーしか飲めない体なのに!」

 

とイタリア語で話している、あの男だ。

 

私はしぶしぶ席を立ち、彼のもとに歩を進める。

 

「ほら、恥ずかしいからやめて」

 

「そんな、ボクは君のためにこんなに一生懸命になっているんじゃないか」

 

困ったものだ。

 

どうして、男には「一生懸命」を押し付けてくるヤツが多いのだろう。

 

私は何ひとつ頼んじゃいないのに。

 

どいつもこいつも、勝手に私が喜ぶことを決める。

 

私のほしいものを、されたいことを、誰も聞いてきてくれない。

 

ま、ほしいものもされたいこともひとつもないのだけれど。

 

「もう、私帰るね」

 

イタリア人なのかすらわからない男に別れを告げて、私はその場を離れた。

 

たかだか一夜を共にしたくらいで、すぐにわかった気になる。

 

みんな、そうだった。

 

「君の好きなものはこれだろ」

 

「僕なら君を幸せにできる」

 

「君はこういう性格なんだね」

 

残念ながら、一度として当たっていたことはない。

 

オンナを舐めるな。

 

知り合ったばかりの男に素顔を見せるほど、私は落ちぶれちゃいない。

 

――そんなことを考えていたら、LINEの電子音が耳に入った。

 

「昨日は、どうも」

 

私のことをさぞ気に入ったのだろう。

 

謙遜したフリをしているのがよくわかる。

 

既読をつけようか悩んでいると、続けざまにメッセージが入った。

 

「今夜、会えないかな」

 

男は決まって、「会いたい」とは言わない。

 

やつらは自分のものにしたと思った途端に、「会いたい」と言うようになるのだ。

 

「ホント、みんな一緒ね」

 

「あなたも面白い人ね」と返信し、会うことにした。

 

待ち合わせに指定されたカフェに着いて、「ほらね」と思う。

 

彼はミルクティーを飲んでいた。

 

OLナギコの日常【ノベル練習帳】

おはようございます。ナギコです。

 

神様、月曜日の朝になったら金曜日の夜がやってくる装置をください。

 

お願いします。

 

今は土曜日の夜ですが、もう月曜日の朝のことを考えています。

 

OLですね。

 

マジOLです。

 

今日は一日中寝てました。

 

PM10:00起床。

 

クソですね。

 

知ってます。

 

やることなくて月曜日の朝のことを考えているあたりもクソですね。

 

「女の子なんだから、そんなんじゃダメだよ」とキラキラした友達は言うのですが、私だって本当はキラキラしたいですよ。

 

でも、無理なんです。

 

だって私、クソですから。

 

無理なものは無理なんです。

 

勝手にお茶を淹れて持ってきてくれるロボットが欲しい。

 

動きたくない。

 

ああ。

 

彼氏欲しい。

 

fin.