ともしどブログ

宛名なしのお便り

前略プロフィールを懐かしんだらハラハラが止まらなかった

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妻が寝息を立てている。猫のような寝顔である。私は今、それを見て安堵している。「おい! これ! こんなことってあるか! 何の因果だ!」と妻を叩き起こさなかった自分を讃えたい。

 

というのも。不意に「前略プロフィール」の存在を思い出した。15年ほど前に流行していたサイトである。マイページを作ってサムネに画像を貼り、プロフィール文でアイデンティティを披露してはゲスブと呼ばれるBBS(掲示板)を設置する。今でいうSNSアカウントのようなものである。

 

前略プロフィールって、今もあるの?」と無邪気な興味関心に支配された私は、「ママ、抱っこ♪」と乳房ロックオン状態の男児のようなキラキラした瞳でググった。最上部に表示されたのは懐かしのURL。これだ。まだあるじゃん。しかしサイトはメンテ中のままになっている。あるけどない。ないけどある。ちょっと寂しい。

 

そして。タイトルを見て気になった記事もついでに見てみた。これがよくなかった。ページはこれである(https://www.excite.co.jp/News/net_clm/20150430/E1430214157779.html)。エキサイト教授。筆者の欄には……あれ、これ、妻のペンネームではないか。「マジかよ。これ、妻が書いた記事じゃねえか!?」大混乱。

 

妻が書いたものとして記事を読む。ひどく傷つく内容だ。たしかにそういう人はいっぱいいた。みんなの黒歴史の集合体だ。でも、なんとなく、妻にはこの記事を書いていてほしくはなかった。みじめである。

 

そこで自分を振り返った。15年前。前略プロフィールを利用していた私のことを。当時の私は、ジャスコのトイレに飾ってあるバラを拝借し、口に咥えてプリクラを撮るような男だった。クソ野郎である。ノリと勢いで看破できないものはないと考えていた頃である。無理もない。それはバラのひとつも咥えてしまうだろう。その頃の私は、前略プロフィールのヘビーユーザーと化していた。何人もの女性と前略プロフィールを通じて知り合い、会い、付き合った。気の利いたセリフをいくつかゲストブックに書き込むだけで簡単に女性の気を引けた。ものすごく簡単な出会いのツールだった。それはそれは簡単な。

 

私には何を言う資格もない。記事を書いたのが妻であっても、私のほうがゲスである。ゲスに大きいも小さいもないが、少なくとも大きいゲスが小さいゲスにとやかく言うことはできない。私は呑み込むことにした。触れるまい。私は大人だ。

 

記事の後半には「チョベリグ」の文言。はあ。やっぱり。微かな望みも打ち砕かれた。はあ。ため息を吐きながらクリックする。……あれ?なんかちがう。サイト?ん?

 

妻ではなかった。「チョベリー」さんの記事だった。ニアミスである。不埒な私には、「チョ」と「ベリー」をチョベリーとは読めなかった。うしろめたさは人を盲目的にさせるのか。ダメダメダメダメダメダメダメ。

 

黒歴史ばかりの人生である。15/29くらいは黒く塗りつぶしてしまっても問題ないくらいには。しかし今は家族がいる。塗りつぶせない人生を歩んでいる。それっぽいセリフで締めてもろもろをなかったことにする作戦である。過去くらい、塗りつぶしちゃってもいいですよね。